ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「まあでも、バスケそのものは楽しかったよ。だから今も続けてるわけだし。って、本題から逸れたけど自己犠牲の話な」
「うん」
「なんつーか、そういう自己犠牲ってのは“逃げの自己犠牲”でありつつ“守りの自己犠牲”でもあるってことなんだよ」
「まもりの…自己犠牲…」
もし“逃げ”の部分が浅倉くん自身のためだとしたら、“守り”の部分は誰のため…?
「ただ、浅倉はバカなことしてんなあって俺は思うわ」
「どういうこと…?」
「あいつはどう考えても青石のことしか見てねーだろってこと」
振られ人生に戻った私に「おかえり青石」なんて言ってきた男じゃないみたいだ。
やっぱり兄貴肌な北條くんと。
「それは私も同感。だいたい王様ゲームで告るなんて、そんなのぜったい付き合いたい相手にしかしないでしょ」
姉御肌な楓花。
彼女までそんなことを言ってくる。
「…だからそれは浅倉くんは私じゃなくて葛西さんに懸けてて、」
「へえ?確かその日、私たちラッキーセブンの話してたよね李衣」
自分の膝に目を落としつつも、はっと開く。
「あんたが6連敗してさ。“つぎは7人目だから運命の王子様なの!”なんて言ってたっけ?
それで、浅倉は王様ゲームを提案したうえに7番を指名したと」