ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
学校でも話すことはもちろんできなくて、目すら合わせてもらえなくて。
クラスメイトたちは逆に気をつかってくれるから気まずくて。
せっかく少しずつ前を向けつつあったのに、また逆流してきそう…。
とぼとぼと力なくソファーに戻ってからの顔からポスン。
「それで、まんまと騙されちゃったんだ?」
冷蔵庫からアイスを取り出して「お疲れ~」と、嫌味ったらしく隣に座ってくるお姉ちゃん。
「そーだよっ、もう王様ゲームなんか一生やらないっ!!」
「誰が王様ゲームって言った?」
反射的にも顔を上げると、私が予想していたよりずっとずっと“姉”の顔をしていた。
今年22歳のお姉ちゃんは就活生でもあるため、こうして早めに拠点を実家に戻したらしい。
いざ就職が決まってから動くとなると、いろいろ大変だろうからと。
とっくにお母さんは私に伝えていたらしいのだけど、それすらも頭に入ってこないくらい落ち込んでたってこと。
「え、王様ゲームのことじゃないの…?」
「違うわよ。王様になってまでわざわざだまくらかしてくるほど、あの子は器用そうに見えなかったし」