ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「浅倉、大丈夫かな…?李衣とも別れちゃったしさ、いろいろ心配だよね」
「うんうん。李衣もずっと元気ないし…」
楓花以外のクラスメイトの女子たちも、いつも私たちを気にかけてくれる。
楓花は楓花で今みたいにほっこりする話題を持ってきては、踏み込みすぎず私の傍にいてくれて。
みんなに感謝している毎日だった。
「そういえばうちのお父さんの知り合いがさ、交通事故に遭ったんだよね最近」
「え、そうなの…?」
「うん。バイク事故。かなりの重体らしくて」
「うわ~、バイクはヤバいって聞くよね」
お弁当を見つめていた私の耳に、斜めうしろから届いてくる会話。
「頭を打ったらしくて、半身不随になっちゃって。もうほとんど寝たきり状態らしいんだ」
「ええ…」
「なんかさ、それ聞いて思ったの」
親近感が湧いてしまったのは、毎日のように検索するなかで出てきていたから。
運動障害が見られる難病を調べると、必ず身体的麻痺が関連に出てくる。
何より“寝たきり”というワード。
ピクッと、思わず反応してしまった。