ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
ぎく、と嫌な予感がした。
王様ゲームは見ているだけでいいのです。
やる側はわりとスリルを味わうゲームなので、私は観客が向いております。
「ほら青石!」
「えっ、私…?」
「お前もさっきノリ気だっただろ?」
ほら、やっぱり。
だいたい私はこういうものに混ぜられる率が非常に高い。
手招きしてきたのは北條くんだった。
私は彼のこういうところに救われた部分と、そうじゃない部分がある。
今はどう考えても後者だ。
「えっと、普通の王様ゲームはちょっと…」
「ふはっ、もしかしてビビってんの?」
「そっ、そんなことないけど…!」
「青石、」
なかなか了承しない私のほうへ自ら寄ってきた北條 拓海(ほうじょう たくみ)。
この男とは高校からの知り合いでしかないのだけれど、入学してからの席替えで初めて隣になった男の子だった。
飾りっ気のない私たちはお互い気の合うところもあってか、今でもとくに気をつかわずに話せる間柄でもあったりして。
「聞け青石。王様さえ引き抜けば、なんでも命令できるんだぜ?」
「……」
こそっと、私だけに特別な耳打ち。