ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
だから断ってたの…?
本当に断っちゃってたから、ちょっとだけ北條くんが可哀想にも見えた。
「つ、付き合ってないよ…!北條くんには……笑われたくらいだよ…、」
大笑いされちゃったの。
おかえり青石って、現実に戻された瞬間いちばんに迎えられたくらいだ。
でも、助けられた部分もあって。
北條くんの言葉があったから、私は千隼くんを信じつづけたいと思った。
「笑われた?なんで?」
「……私が振られ人生に戻ったから…」
「なにそれ。…やっぱあいつムカつく」
って言ってる千隼くんに振られちゃったんだけど…。
どういうムカつくなんだろう?と考えていると、「ごめん」と、もう1度謝ってきた。
「で、でも…葛西さんのほうがいいって、私は遊びだって…っ」
試すような気持ちで、離さないで欲しいっていう期待をこめて、少しだけ抵抗してみる。
すると千隼くんは一瞬、ふわっと力を抜いてしまったような気がして。
「っ、」
ぎゅうっと、離れられないように背中に回した。