ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




大急ぎで適当に書いていることが背中越しでも分かった。

それにそのくじ引きって…、来週に迫った体育祭で千隼くんが選ばれた借り人競争のくじ引きだ。



「がんばってね千隼くん。なんか大変そうだけど…」


「…あいつほんと嫌い」


「ふふっ」



千隼くんにはこんなこと言えないけれど、千隼くんと北條くんは合わないことはないと思う。

お互いにつつき合いながら結局は仲良くしてるところ、わりと想像できたりもするから。



「拓海、そっちはなに書いてんの?」


「あっ、見んな見んな!見たら面白くねーだろ」


「オレら借り人競争じゃねーし、別にいいじゃん!」


「…やめろって。早く終わらせて部活いきてえんだよ俺は」


「んだよつまんねーなあ」



わかるよ北條くん。

私も早く終わらせて千隼くんとパンケーキ食べに行きたい。

新メニューとか出てたりするのかな?と、考えるだけで今にも頬がゆっるゆる。



「千隼くんっ、今日の空は雲ひとつもないよ!」


「え、向こうに……いや、ないね」


「うん!!ないね!?」



当たり前のように手をつないで校舎から出る。

空を指差して、今度は路地裏の猫を見つけて、新しいパン屋さんなんかを発見しては寄り道して。



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