ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「浅倉と話してみたいとか、そーいうことだって言えるんだぞ王様は」
「え、でも誰が何番を引くかは分からないし…」
「そこは懸けろ。今日はラッキーセブンじゃねーの青石?」
悪戯な顔をして言ってくる北條くんに釣られたわけではない、決して。
なぜか私の心が読まれていて、いつの間にかその場に浅倉くんも集められているからとか、そういうわけでもない決して。
というより浅倉くん、君がいるなんて驚きだ。
4人ずつ集結した男女が8人、それぞれ1本ずつ掴んだ割り箸。
「じゃあ一斉にな、引いたらすぐ隠せよお前ら!んじゃっ、せーーのっ!」
ラッキーセブンは、本当にあるんだと。
今日は7のつく日で、手にした番号は7番で。
「王様だれ!?」
「………俺、」
「えっ、まじ!?浅倉だってよ!!」
それだけで、たったそれだけで、教室を出ようとしていた女の子たちは振り返った。
今日は部活がないらしい日、運動部や文化部所属のクラスメイトも興味津々に立ち止まる。
「さあ王様!命令をどーぞっ!」
10月7日、今日は朝から雨が降っていた。
お昼には止んでいて、けれども雲が分厚く空を覆っていたはずなのに。
気づけば今は窓から覗いた一面に、濃さが増した青色いっぱい。
「じゃあ…7番のひと…、俺と……付き合ってくれませんか」