ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




けれど、“ガン見”。

その言葉が私をゴールから遠ざけた。


ガン見……、彼氏、ガン見……、

見てる、私のことを見てるって……。



「っ…!!」



勢いよく蹴ったボールは、なんと円を描くように綺麗に綺麗に……真横へと。

ピーーーッと、まさかの場外。



「うおぉぉいっ!!なにやってんだ青石…!!」


「ちょと李衣…!隣コートのゴール狙ってどーすんのよっ!!」


「ぶはっ、ぎゃはははっ!!おかえり青石!!」


「笑ってんじゃねーよ拓海!!」



むり、むりむりっ!
そんなの無理……っ!!

だってガン見してるんだよね…!?


試合終了のホイッスルが鳴って、思わずチラッと視線を移してみれば。



「かっ、かっこいいぃぃぃっ」


「はあ……、結局ボールじゃなくてそっち追いかけたか…」



スマホをこちらに向けて微笑む、ジャージ姿のイケメンがおりました。


結果は2-1の負けとなった。

試合終了ギリギリでゴールを決めるというドラマ的展開なんかには、ならなかったようで。



「ねえ!つぎ借り人競争に北條先輩が出るって!!」


「応援しよ応援しよっ!せーのっ、」


「「「北條せんぱぁーいっ!!がんばってくださぁーーーいっ!!」」」



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