ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




部活で目立つ生徒というのは、2年生になると後輩というファンがつくらしい。

このように1年生の女の子たちは北條くんを見つけては騒いでいる。



「まって!北條先輩の隣にいる人だれ!?めちゃくちゃかっこいいんだけど…!!」


「えっ、知らないの?浅倉先輩じゃん!あたしはぜったい浅倉先輩を応援する!!」


「あっさくらせんぱぁーーいっ!!応援してまぁーーーすっ」


「ちょ…!抜け駆けとかズルいわよ…!!」



そしてやはりこうなる。

こうして人から人へ、知らないところで新たに伝わって人気者になってしまう仕組みはどうにかならないものか。


すぐ隣にいる後輩ちゃんたちの声を聞きながらメラメラとジェラシーを溜める私。

を、覗き込んでくる楓花。



「どしたー?李衣」


「………わかってるくせに」


「これで浅倉が北條に勝っちゃったら、たぶんもっと大変なことになりそうね」


「…それは嫌だけど勝ってほしいっ!」



借り人競争、最終レース。

スタート位置に並んで立っている千隼くんと北條くん。


キラキラしてる……、

なんだあのタイプの違ったキラキラ感は。



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