ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
《どうした4番!!ここにきてまさかの転んでしまったーーーッ!!》
心配している生徒より、それすらパフォーマンスだと思っている生徒のほうが多い。
ほとんどが転倒した彼を目にして笑っていた。
「っ…、」
そんなものを気にせず助けにいきたい衝動に駆られる私は、けれど動きに迷ってしまう。
いまの千隼くんは、たぶんそれを望んでいない。
見守っててほしいって……言われてる。
同じように先生たちも何かに勘づいて近づいてこようとするけれど、「来るな」と手で合図して彼は立ち上がった。
─────ガシッ!
「えっ、わ、」
なんとか自力で立ち上がって再び向かってこようとする千隼くんは、またまたピタリと停止。
「へ…?なんで…?」
「…よお青石」
気づかないうちに、どういうわけか私の真隣に移動していたゼッケンナンバー2。
どおりで周りが騒がしいと思っていたら、なぜか北條くんが私の腕を掴んでいた。
「なに…?どういうこと…?」
「借り人。“クラスでいちばんのバカ”って書いてあったわ」
「………」