ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
《ここで2番と4番に絆が生まれたーーッ!なんだこれは…!?どういう状況だ!!》
本当にどういう状況だ。
北條くんは借り人として私を選んだんじゃなく、わざわざこうして千隼くんの元へ連れていくためだったってこと…?
「…お礼とか言わないから」
「だから言ってもらえるとも思ってねーって。…どーせ俺はゼッケンのとおり、2番だし」
「俺は4番だけど」
「…“いちばん”だろ、浅倉は」
なんであんなの書いたんだ俺…と、北條くんは過去の自分を後悔しているようだった。
でも“クラスでいちばんのバカ”ならば、彼がいつもつるんでいる男子たちのなかにも居そうなのに。
まったくどうして私だったの……。
「……李衣、いこう」
「わっ!うんっ」
今度は千隼くんに手が引かれる。
この感触、このぬくもりだと、やっと求めていたものに幸せを感じた。
《借り人をゲットした4番っ!2番は借り人が無くなり放浪中となりました!!さあ勝利は誰の手に渡るのか……!!》
手を繋いで、走る。
離れないように繋いで、一緒に走る。
忘れないで、ずっと覚えているんだよ私。
この瞬間を、この景色を、ここから見える大好きな背中を。