ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
千隼side




「はー?ぜんぶで15っつってたよな?14個しかねえんだけど…」



体育館裏にある倉庫の前。

重ねられたコーンを数えているクラスメイトのもとへ、俺は残りのひとつを手にして近寄った。



「北條、これ」


「……まだ帰ってなかったのか浅倉」



サンキュ、と言って俺からコーンを受け取った北條 拓海。

体育祭あとは普通の生徒より居残ることを分かっていたはずなのに、こいつはどうして体育委員になったのかと不思議だった。



「格好良かったじゃん、おまえ。青石ガッチガチで抱えられてやんの」



借り人競争のことを思い出しているのだろうクラスメイトは、ははっと笑った。



「李衣のこと、やっぱり好きなんでしょ北條」


「………」



なんで俺に渡したんだ、なんでお前は借り人を見つけずにゴールもせず失格したんだ。

北條、おまえが引いたくじにはなんて書かれてあったの?


頭に浮かんだ疑問すべてを、俺はそんなたった一言で伝えきった。



「…青石はお前が好き、それでいいだろ。せっかくヨリ戻せたんだから自発的に問題つくってこようとすんなよ」


「好きってこと自体は否定しないんだ」


「……」



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