ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
memoria.3
誰のための妥協
「ねえ李衣、明日が最終日って信じられる?」
「信じられない信じたくない帰りたくない」
「同じく」
それぞれベッドの上で大の字を広げる私と楓花。
4泊5日の旅は気づいたときには最終日の前日を迎えていることから、私たちはそれなりに楽しんでたみたいなのだけれど。
「まだまだ遊びたい欲がすごいっ」
「わかる、一生ここにいたい。……は、言い過ぎたけど足りないよね」
「楽しすぎたもんっ」
班行動に自由行動、全員で向かった観光地。
千隼くんと回ったり、楓花や北條くんも一緒だったり、とりあえずはめちゃくちゃ楽しんだ。
そんな修学旅行は、あっという間に終わりを迎えようとしていて。
「そういえば浅倉との自由行動でなに買ったの?」
「お揃いのブレスレット!」
「おー、いいじゃん。見せて見せて」
「これっ」
ふたりで回った商店街。
初めて歩く町、初めて見るお店、初めて顔を合わせる店員さん、手をつないで時間いっぱい回って。
とあるアクセサリーショップでお揃いのものを初めて購入した。