ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
彼が見つめる夢
「お姉ちゃんっ、これどう?コーディネートもメイクもひとりでやってみたの…!」
「……雑誌でも見たの?」
「うんっ!雑誌に動画に楓花にっ!!借りられる手はぜんぶ借りたっ」
あんたと違って就活生は忙しいの───、
なんて口癖のように言うのに、こうして話しかけると必ず答えてくれるのがお姉ちゃん。
「いいんじゃない?李衣にしては」
「ほんと!?やったあ!」
高校生になって2回目の冬。
去年と違うことは、大好きな男の子に会える時間が増えたこと。
今日も私は張り切ってオシャレをして、彼に会いに向かう。
「てかあんた、土日の両方デートしてない?」
「うんっ!千隼くん頭もいいから一緒に勉強したりしてるんだ~」
「まったく。お姉様に感謝してよね」
「もちろんっ!お姉ちゃんのおかげ!」
お姉ちゃんの言葉は、この先も私の人生の教訓とさせてもらう。
今回いろいろあって姉のイメージも良い方向に変わって、今では私にとって頼れるお姉ちゃん。
「……まさかデート場所が病院なんてお姉ちゃんびっくり~」
「えへへ、送ってくれてありがとう!帰りは電車で帰ってくるから大丈夫だよ」
「待って李衣」