ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




……ちょっと待てよ?

思い出すかぎり、振られてガチ泣きしてるものばかりな気が…。



「わわわわ忘れてっ!?それっ、ぜんぶ忘れて…!!」


「ふっ、…やだ」


「……、」



───…笑って、くれた。


初めてだ、どう考えても初めて。

こんなにも優しい顔をするんだ、こんなにも柔らかい目をしているんだ。



「ラッキーセブン、そうじゃないかって信じてたんだ俺」



あのとき、目が合った理由。

浅倉くんは私が7番を引いたことに懸けていたってこと……?



「あのっ、えっと、王様ゲームに期限とかって…、あるのかな…?」


「…たぶん」


「えっ、あるの…!?い、いつ…?」


「…いつだろ。夢が覚めたとき…かな」


「ゆめ…?」



自分でもびっくりしてしまったくらい落ち込んでいる私がいた。

確かに夢みたいだよ、夢みたいすぎて夢なんじゃないかって今も思ってる。


だけど、どこをつねっても痛いんだもん…。



「じゃあ王様の命令は絶対だから…、そのとき私は従わなくちゃいけないね」



返事は無かった。

静かになってしまった空気に、浅倉くんの低すぎない心地いい声。



< 25 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop