ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「わあ~、初めまして!李衣の姉の芽衣って言います~」
「…浅倉です。はじめまして、」
「かっわいーっ!一応聞くけど、本当にこの妹でいいの?大丈夫?逆に騙されてない?心配だよお姉ちゃんは」
「もう!お姉ちゃんっ!」
それからしばらくして、病室に追加された姉。
仕事帰りとは思えないくらい、案の定、安定のお姉ちゃんで浅倉くんへとつつき出す。
「これ駅前に売ってて、浅倉くんバウムクーヘン好きかな?」
「あ、好きです」
「バウムクーヘン!私もすき!」
「よかった~、浅倉くんと一緒に食べたいと思ったんだあ。結構いいところのバウムクーヘンっぽくてね」
あれ、ちょっと。
ガン無視……?私のこと見えてる…?
いるよ…?
ここに妹がいるんだよお姉ちゃん。
「お姉ちゃんっ、私もバウムクーヘン食べたい!」
「浅倉くんは甘いのとか苦手かなって心配してたんだけど…大丈夫そう?」
「はい。美味しいです」
この姉……、
私のことを見ようともしてない…。
だからちょっとだけ嫌だったの…!
こうなるんじゃないかって薄々感じてたから…!!