ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「人それぞれだから…っ、この病気は一概には言えないからっ、
だから……普通に寿命を全うする場合もあるって、言ってた、」
一体それはどのくらいの確率なの。
叔父さん、そこまでちゃんと言ってくれないと私は信じることができそうにないよ。
『そうやって夢を叶えてる人もいる。だから俺も……まだ諦めるのは早いのかなって』
どうして、どうしてどうして……どうして。
どうして、やっと光が見えたと思ったのに突き落としてくるの。
「千隼くんは…、大丈夫だよ…っ、ぜったいぜったい、……だいじょうぶ、だから、」
だんだん北條くんの顔が歪んでいく。
大丈夫、大丈夫、そうやって言い聞かせていないと保つことができないほどの精神状態だった。
何度も何度もSMAについて調べたよ。
むしろここ数年はそれしか調べていないくらいに、調べた。
たとえSMAだとしても自分の夢を叶えている人、夫婦として支えあっている人、発症してからも何十年と生きている人。
だからきっと千隼くんも大丈夫だよねって。
「人間はみんなに平等な権利があるはずだから…っ、SMAも、みんな平等に決まってる……、」
進行速度が明らかに早く進んでいる、なんて。
そんなの言われてどうしろっていうの。
お医者さんからそれを伝えられた私は、私たちは、どこに願って懸ければいいの。