ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。

いちばんが認める2番

北條side




夏休みになって久しぶりに目にしたクラスメイトは。

驚くほど、言葉にならないくらい、ひどく痩せ細っていて、力なく俺を見つめてきた。



「…引いた?」


「……なに言ってんだよ、アホか。よお浅倉、久しぶりだな」


「…お前は変わらなくていいな」



変わってねーよ、浅倉。
お前だって変わってない。

むしろ生意気さ加減が前よりも増したくらいだ。


まじで生意気なんだよ。

やっと会えた友達を前にして、俺様が引くわけねえだろ。



「でも李衣、北條が来るとか聞いてないよ俺」


「それがね?なんか最寄り駅に立ってて!私はスルーしようとしたのに北條くんってば、ずっとついてくるの!」


「……それストーカーじゃん」



ふたり揃って迷惑そうに見てくる。

最初からここぐらいまでしないと無理だろうなって思っていたから、もちろん俺は悪気はまったく無かった。



「わりぃな浅倉。アイス買ってきてやったから許せ」



3人分、わりと高めなものを院内のコンビニで買ってきた。

差し出したビニール袋を受け取る、たったそれだけの動きにもスムーズさは欠けていて。


だから俺は自然と中身を取り出して、パカッと蓋まで開けてやる。



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