ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
諦めてる奴だと思ってた。
こいつはもう諦めてんだろうなって、不謹慎ながらにも俺は思ってしまっていた。
でもちがう。
浅倉は浅倉なりに歩こうとしているのだ。
「そういえば李衣はAO入試、来週だったっけ」
「そうそうっ」
「じゃあ、面接練習」
「えっ、面接練習…?」
あれ……?
なんか違和感がある。
気持ち悪いくらいの違和感が。
さっきの言葉は青石を笑顔にするための嘘のようなもので、本当はこっち。
まるで自分の夢をすべて青石に託しているような、なぜか俺にはそんなふうに見えた。
「俺が面接官をするから、北條は審査して」
「おー」
その体勢でやんのかよ。
んなの、青石は緊張どうこうで面接どころじゃなくなるだろ。
「では、お名前からどうぞ」
「は、はい…!わたし李衣っ!あっ、間違えました青石 李衣です!よろしくお願いします!!」
「ふっ、ははっ、それはダメだって李衣、あははっ!」
「わ、ごめん…!いつもの癖でっ」
……なんだこの羨ましい茶番は。