ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




さっきおぶられているときも、浅倉くんが転んじゃったらどうしようって。

だからそうなっても大丈夫なように、私も浅倉くんを運べるようになればいいんだ。



「……そんなの、ダサいよ俺」


「え、ダサくないよ…?いつも完璧だと思ってた浅倉くんが唯一ちょっとだけ崩れる瞬間で、すっごくかわいいところでっ」


「……かわいい?」


「うんっ」



あれ……?
あまり嬉しくなさそう…?

やっぱり男の子に対して「かわいい」はあまりよろしくなかったりするの…かな?



「青石さん、いつも俺のこと“かわいい”って言うけど、」


「へっ、いつも…?」


「…前も、園田(そのだ)さんと話してたとき」



園田さんとは、楓花のこと。

普段は苗字で呼ばないから少し考えてしまった。



「えっ、聞いてたの!?だってあのときイヤホン……」



あっ、そうだ。

イヤホンは飾り的な実用方法をしてるんだっけ、浅倉くんの場合。



「文化祭の出し物決めのときだって」



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