ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
これは毎度毎度のため、今では放課後ルーティンとなっていた。
だからお母さんも私も「やっぱりか…」という反応で。
「でも不思議なんです」
すると千明くんのお母さんは、息子を見つめながら微笑んだ。
「前の保育園ではぜんぜん溶け込めなくて、先生たちを逆に困らせていたのに。どうにもりい先生だけは違うみたいで」
「…そうだったんですか」
「お昼になってもご飯を食べないくらいだったんですよ?何度先生たちに心配されたことか…」
この保育園に今年から入った千明くんは、ご飯をきちんと食べてお昼寝もしっかりすることができる子だ。
だからこそお母さんの言葉は、私が知る千明くんには当てはまらなかった。
「…似ている子を知っています。なので千明くんもその子と同じで、甘えることや無防備な姿を誰かに見せることが苦手な……とても不器用で強い男の子なんでしょうね」
そう答えると、私の足にぴったりとくっつく力が強まった。
「じゃありい先生には甘えているってことなんですね。先生みたいな方が千明の傍にいてくれるから、毎日安心して預けることができるんです」
「お任せください!千明くんの扱いには自信があるんです」
「ふふ、りい先生が担当で良かったね千明」