ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
私だってもし王様を引くことができていたら、神様に懸けて浅倉くんと仲良くなりたいですって願おうとしてたこと。
だからこれだけは分かるんだ。
あのとき私が王様を引いていたら、7番は浅倉くんだった。
「浅倉くんはすごい繊細なんだね」
「…俺は無愛想で、ネガティブで、暗くてつまんなくて、」
「そのぶんすっごく優しくて、可愛くて格好いい男の子」
「…、」
飴細工みたいにきれいで繊細なんだ。
浅倉くんの心は少し踏み込んでしまうだけで固いガードを作られてしまう。
だからそっと、すくうように触れてみれば、どんなものも敵わない優しさがあって。
「…青石さん、…手、」
すると、スッと右手を上げた浅倉くん。
「手…?」
言われたまま、目の前の手のひらに合わせてみる。
冷たいとも温かいとも言えないお互いの体温。
「…青石さんの手、俺より小さい」
「ふふっ、ほんとだね」
ぎゅっと、指が絡まれるように握られた。
震える声を一生懸命おさえている浅倉くんだけど、その手から伝わってくる。
「───…ありがとう」