ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
大馬鹿者
「おいバナナの串刺し係、ぜんぜん作動してねーんだけど!!あいつらどこ行ったんだよ…!」
「ちょっと串刺しって言い方っ!!小さい子供もいるんだからね北條!!」
「じゃあバナナの貫通か?そっちのが卑猥(ひわい)だろ!!」
「ちょっ、最低なんだけど…!!」
「うるせー!子供を待たせてんだよ!!」
甘い匂いが充満している教室には、匂いにつられたお客さんがわんさかやってきた。
私のクラス、1年3組は学年のなかでも人気な模擬店となったみたいで。
やっぱり王様ゲームは侮(あなど)れないんだと実感した今日は、待ちに待った文化祭当日。
「楓花~、チョコの追加できたよー。他はなんか手伝うことあるー?」
「あっ、ちょうどよかったわ李衣…!バナナの串刺しおねがいっ!浅倉も暇そうにしてるから一緒にやったら?」
「浅倉くん!バナナの串刺しだって!やろうやろうっ」
「お前も言ってんだろ園田!!」と、北條くんの声すら楽しいものに変えてしまう賑やかさで。
お祭り気分を味わえる日。
ちょっとだけ特別な日。
それでいて高校生活の醍醐味(だいごみ)とも言える行事のひとつが文化祭。