ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「青石さん、それすごい曲がってる」
「えっ、私的には完璧だと思ったのに…!」
「ふっ、貸して」
クラスメイトの半数以上が遊びに行ってしまったため、教室内は15人未満で回していた。
奥のテーブルで肩を並べて作業する私と浅倉くん。
「わあ!思ったとおり器用だね~」
私が作ったものを手直ししてくれる、格好いい彼氏。
バナナから割り箸が飛び出していないし、きちんと固定もできている。
「だって割り箸に通すだけだから」
「うっ、私がそれすらできない不器用って言われてるみたい…、」
「うん、たぶんそうなんだと思う」
「もうっ!浅倉くん!」
最近になって分かってきた。
彼は喜びを感じているとき、逆に眉が寄るんだと。
今だってそんな顔をして私のことを見つめてくれている。
「浅倉くん!」
「青石さん」
同じタイミング。
ほんのわずか私のほうが早かった気もするけど、お互いの譲り合いが始まる。