ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「えっ、ちょっ、緊急だよ!?ちがうの…!私が思ってた緊急っていうのはそーいう意味じゃなくて…っ、
だってまさか浅倉くんが誘ってくれるなんて思ってなかったから…!」
「誘うよ。だって青石さんは俺の彼女だから」
あたふたしていた私は、今度は蒸気が上がりつつ挙動不審な動きに変わる。
だとしてもネガティブモードの浅倉くんをどうにかしなければと思っていると、ふにゃりと空気が柔らかくなった。
どこか気の抜けたような顔が目の前。
「ごめん、ちょっとからかってみただけ」
「えっ」
「行こう青石さん」
「あ、うんっ」
関わるたびに浅倉くんを知っていって、気持ちは大きくなって。
今までのものが恋に恋した本気の恋だとしたなら、今回は彼に恋をした、本物の恋だ。
「浅倉くんっ、ここお化け屋敷だって!」
「…大丈夫?こういうおふざけでやるのがいちばん霊が寄ってきやすいって聞くから」
「えっ!そうなの…!?行かないっ、ぜったい行かない…!」