ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
あ、眉を寄せてる……。
楽しいんだね、浅倉くん。
初めての彼氏と過ごす、高校生になって初めての文化祭は。
結論から言えば……最高です。
「あ!ここにもスタンプ発見!」
「でもぜんぜん違う場所だ」
「こーいうのはコツコツやってくのが楽しいんだよ浅倉くんっ」
校舎内にいくつか設置されているスタンプラリー。
ビンゴ形式になっていて、1列揃うと豪華景品が渡されるらしい。
途中でフライドポテトやチキンナゲットを買って2人で分けあっては幸せを噛み締める。
みんなーーっ!!
いま私は彼氏と文化祭を回ってしまってるよーーー!!と、心のなかで叫びまくっていた。
「おまえっ、こんなとこにいたのか青石!!」
と、浮かれ気分を呼び戻してきた聞き慣れた声。
「北條くん、そんなに急いでどうしたの?」
「どうしたもこうしたもねーよ!お前あのチョコ何人分だよ?ぜんぜん足りねえんだけど!」
それをわざわざ言いにこちらまで来てくれた……と。
でも北條くん、君がいないと1年3組の招き猫的なポジションがまたひとり減ってしまうんだよ。