ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
ぎゅっと握り返して、コクンとうなずいた。
もうすぐ後夜祭が始まる。
イントロクイズと花火大会、打ち上げ花火も何発か上がるってクラスメイトたちは言っていた。
《まもなく後夜祭が開催されます。生徒の皆さんはグラウンドへお集まりください》
日の落ちかけた学校。
がらんと静まり返る校内に、ふたりの跳ねるような足音。
「浅倉くんっ!ここ図書室!だーれもいないっ!」
「青石さん、あまりはしゃぐと残ってる先生にバレる」
「あっ、静かに…!隠れなきゃっ」
手をつないで、夜の学校をお散歩。
まるで小さな頃に近所のお友達たちと遊んだかくれんぼみたいだ。
いつも音楽を流していないイヤホンを付けていた浅倉くんの気持ちが分かった気がした。
今もグラウンドから微かに届いてくる音楽は、直接聞くより心地よくて、落ち着く。
「はいっ、じゃあここの問題を浅倉くん!」
「わかりません」
「なにぃ!?先生の授業をちゃんと聞いてないな!?6時間廊下に立ってなさい!」
「……ふっ、鬼教師」
「あははっ!」