ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
ドーーーーンと、教室の窓から見えた花火。
パラパラと散って、また静寂に戻ると照れくさくなって緊張する。
「じゃあ次はどんな問題にしよっかな~」
私より浅倉くんのほうが頭がいいから、私が先生役というのもちょっとだけ笑っちゃう。
“青石 李衣”
“浅倉 千隼”
大きな黒板に私の名前を縦書きで書いて、隣に浅倉くんの名前を同じように並べた。
「それをこうすると~、相合い傘になっちゃった!……なんてねっ!」
屋根をするみたいに三角を書いて、縦線をひとつ。
こんなこと書く先生がいたらどうする~?と、鼻歌まじりに響いた私の声。
「あさくら、ちはや。…速そうっ!ビュンって、風みたいな…!それで、すごくいい名前だね」
きっと女の子なら誰だって1度は考えてしまうと思う。
浅倉……李衣。
さすがに言えないけれど、似合うかな?どうかな?なんて勝手に想像したりして。
「───…あさ、くら…くん…?」
彼はずっと私と同じ温度感で生きていないこと。
私以上の想いを抱えていること、振り返っただけで言葉を失ってしまうくらいに溢れていた。