ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「きらわないよ…、私は、ぜったい嫌わない」
絶対は、ありません。
世の中に“絶対”という言葉ほど、残酷なものはありません。
「じゃあもし俺に……足が無くなって、手が無くなったとしても…そう言える?」
「え───…、」
「寝たきりになった俺に、同じように言える?」
言えないでしょ、そんな綺麗事───と。
このときの彼は、“言葉にしない”という“絶対的な言葉”として私に伝えてきました。
「あ、浅倉くんは…?もし私がそうなっても嫌わない…?」
「……そんな心配いらないよ、青石さんは」
思えばこれが、彼とした最初で最後の喧嘩だったのかもしれない。
浅倉 千隼という男の子が私に初めて、「馬鹿だろ」という言葉と同等な罵倒をしてきた瞬間。
「っ、浅倉くん!王様ゲームに期限はないから…!期限なんか、ないよ、ないんだよ」
物事に限りがないものは、ありません。
目に見えるものは必ずいつか消滅する日がやってきます。
けれど人間は、目に見えるものしか信じることができません。
だから、このときの私は馬鹿だ。
せめて涙を拭ってあげることすらできなかった私は。
大馬鹿者の愚か者でした。