ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
理解と愛
「……あんたさあ、まさかデートって言わないわよね?」
「えっ、デート……だよ?」
「最悪。ちょっと来て!!」
「わぁっ、ちょっとお姉ちゃん…!」
ずっとずっと楽しみにしていた今日がようやく訪れた。
今年の12月は今までとは違うこと。
だって、だってっ!!
夢にまで見た彼氏とイルミネーションデートだなんてっ!!
───の、はずなのに。
「そんな格好でデートとか、姉であるあたしが恥ずかしいからやめてよね!!」
「えっ、そんなにだめ…?」
「なによその茶色一色なコーデ!ほうじ茶みたいな服着てんじゃないわよ!!」
普段は大学生で隣町にて一人暮らしをしているお姉ちゃんは、たまたま実家に帰省中。
るんるん気分で余裕ある準備をしている私をじとーっと見つめ続けていたけれど、とうとう我慢の緒が切れたらしい。
「ほうじ茶って……、私は美味しくて好きっ」
「あんたのお茶の好みなんかどーだっていいわ!!ほらこれ脱いでっ、これも!
うわっ、インナーまで茶色って意味わかんないんだけど!!」
「やっぱり大事なのは統一感かなって!」
「一丁前なこと言ってんじゃないわよ!地味な顔のくせに地味なもの足してどーすんの!」