ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




びっくりするくらい慣れた手つきは、まるでメイク道具を自由に操る魔法使いみたいだ。

鏡を見るたびに見違えてゆく私がいる…。



「…お姉ちゃん、」


「なーに」


「……浅倉くんは…、やっぱり私以外の女の子とも付き合ってるのかもしれない…」



ピタリと、お姉ちゃんの動きは止まる。



「…なんでそう思った?」



さっきはあんなに言ってきたのに、改めて私から言うと理由を聞いてくる。

こんなところがいざとなったら頼りになるお姉ちゃんっぽいのだから困ったものだ。



「わからないけど…浅倉くんは何かに縛られてる気がするの」


「縛られてる?」


「うん…。私はいつか必ず浅倉くんのことを嫌うんだって」



そんなことを彼から言われてしまった。

断言するように、言われてしまった。



「やっぱりそれって私じゃない子とも付き合ってて、いつかバレたら……、
その女の子たちに足も手もちょん切られちゃうからってことなのかな…」


「……なにそれ怖すぎない?」


「…だって分かんないんだもん」


「あたしはあんたの思考回路が分かんない」



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