ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
「浅倉くん…!ごめんね電車がちょっとだけ遅れててっ!」
「……俺もいま来たとこだから」
「あっ、ほんと?それならよかった…」
やばい、どうしよう、どうしたらいいの。
わーーっ!!格好いいぃぃぃぃっ!!
いや……やっぱりかわいいぃぃぃっ!!
彼にしてはキュートなイメージを連想させる紺色をしたダッフルコート、黒スキニーにスニーカー。
シンプルな組み合わせなのに、どうしてこんなに似合ってしまうのでしょうか。
周りからチラチラと見られている私服姿の浅倉くんは、案の定とんでもない破壊力がありました。
「……足、さむくないの」
「えっ、あっ、大丈夫だよ…!ニット生地だしタイツ履いてるから、わりと温かくて!」
お姉ちゃんが言っていた。
オシャレ、すなわちそれは我慢だって。
「もしかして浅倉くんは寒い…?よかったら私のコートぜんぜん貸すから…!」
「…そんなのもっとだめでしょ」
「へ…?」
ぷいっと、顔を逸らされてしまった。
彼は私に何を伝えたかったんだろう…。
「…あっち、屋台とかも出てるみたい」
「わ、ほんとだ…。じゃあそっち行ってみようっ」
日の落ちかけた空の下、公園内は同い歳ほどの若いカップルで溢れていた。