ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
暗い場所が怖い浅倉くんの光になってあげようって、浅倉くんが転んだらおぶってでも抱えるんだって。
そう自分に誓ったはずでしょ…。
「いる、浅倉くんは私が守る」
もう彼がたったひとりで転ばないように、ぎゅっと握り返した。
「さ、さっきはごめんね浅倉くん…」
「やだ」
「えっ、」
「…うそ。行こう」
それだけ。
たったそれだけの会話が、お互いにとっての「ごめんね」だった。
「わあ…!ここは動物だねっ」
「…あれクマかな、いやパンダか」
「あははっ、パンダも一応はクマだよ浅倉くん」
植物ゾーンを抜けると、今度は動物ゾーン。
キラキラ輝く光が作り出す形を見ては「あれは何かな?」と、ふたりで考える楽しさ。
「浅倉くんっ、向こうに豚汁売ってるって!」
「…とんじる、」
「屋台で豚汁なんかあるんだね!」
「…飲みたいの?」
「あっ、えっと…、ちょっとだけ気にはなったりして…」
気づけばいつもどおり。
手はずっと繋いだまま、ごくありふれたデートを楽しむことができていた。