ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
何度か浅倉くんの優しい顔を見れて大満足ななか、今度は豚汁という珍しいものを発見して。
「ふっ、いいよ。飲もう」
「うんっ!身体も温まると思うから!」
広々とした公園内にはいくつもの屋台が設置されていて、余裕ある飲食スペースまで。
無事に豚汁をゲットして、人混みのなか空いているベンチに並んで座った。
屋台からふわっと届く湯気が空気までをも温めてくれる。
「青石さん、これ」
「わっ、いつの間にマフラー!?」
「寒いから中に巻いてた」
すると浅倉くんは、ずっと巻いていたらしいマフラーを取って、なぜか私の膝にかけてくれた。
「えっ、寒くないよ…?それだと浅倉くんが風邪引いちゃう…!」
「平気だから」
「だめだよっ」
「……足のラインが、それ」
足のラインが、それ。
“それ”とは、つまりはタイト素材で作られた太もも丈のスカートのこと。
脳内でとりあえず10回はリピートされた。
「なんか座ると余計……さ、」
思わず目を向けてみると、浅倉くんはまたまた顔をぷいっと逸らす。
隠しきれていない耳は寒さだけとは言えないくらいに真っ赤に染まっているものだから、この青石 李衣。
きゅんきゅんが止まりません。