ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
きれいなイルミネーションのなか。
私の彼氏すごく格好いいでしょ?なんて自慢するような気持ちで、手を繋いで周りに溶け込んで。
でも、本当の幸せは今のような時間なのだと。
それまでの自分がすごく恥ずかしくて惨めに思えた。
「俺のこと───…嫌わないで、ほしい、」
私よ、過去の私よ。
彼に優しさを与えなさい。
わがままをたくさん言わせなさい。
泣かせてあげることができるのなら、めいっぱい泣かせてあげなさい。
弱音も、不安も、すべてを聞いてあげなさい。
「嫌わないよ…!嫌うわけないっ、私っ、浅倉くんが…っ、す、好きだから…!」
「っ…!………俺、も、」
今という時間を大切にしなさい。
この瞬間にしか感じることのできない温かさを見つめなさい。
彼自身が動かす、彼の身体を、そのぬくもりを、しっかり覚えておきなさい。
空から降る雪よりも儚い命を、奇跡を、あるがままに抱きしめなさい。
そして、愛を、与えなさい。
「帰ったらメールする。明日も…その次も、するから。…できたら電話も」
「うんっ、うんっ!私も…!」
私にはそれくらいしか、できないのだから───。