ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
というわけで、仕方なくお母さんと近所のコインランドリーへ向かった15時。
「芽衣(めい)から聞いたけど。王様ゲームなんだって?」
「へっ?」
乾くまで待たされる30分間は、自動販売機で飲み物を買ってもらえるという得点つき。
車のなかでホットレモンを飲んでいた私は、運転席に座った母の言葉にマヌケな反応を返してしまった。
「彼氏と付き合った経緯」
「……」
お姉ちゃんにはもうペラペラ喋らないことにする。
確かに私もサラッと言っちゃったけど…。
よくよく考えてみれば「王様ゲームで付き合いました」って、周りに笑顔で言うのもおかしい気がする。
「いいじゃん別にっ!浅倉くんは優しくて真面目でっ、私には勿体ないくらいの人なんだから…!」
「うん、芽衣も“すごく誠実そうな子に見えた”って言ってたから、そこまで心配はしてないわ」
「え…」
「彼氏くんはかなり格好いいのに、なぜか李衣とお似合いなのが不思議って笑ってたわよ」
ほら、もう、なんなの。
お姉ちゃんはすっごく意地悪で昔から私のことを下僕のように扱うくせ、私が知らないところではちゃんとお姉ちゃんしてたりする。