ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。




「始まり方なんてそこまで重要なことじゃないってお母さんも思う。どう出会うかってより、誰と出会うかってところじゃない?」


「……お母さんとお父さんはどうやって出会ったの?」


「友達同士が仲良くて、そこでたまたま出会ったの」


「へえ、そうだったんだ」



両親のそういった話を聞くのは初めてだった。

今までは気にしたこともなかったのに気にしてしまったのは、私にも大切な存在ができたからだろうか。



「最初のイメージは最悪よ。ぜったいこんな男とだけは付き合いたくないって思ったわ」



でも気づいたら結婚しちゃってた───と、お母さんはペロッと舌を出すように笑った。



「…なんかいいね、そーいうの」


「そう?」


「うん。最初は最悪でも、関わっていくうちにお互いにとってかけがえのない存在になったってことでしょ…?」



いろんなことを乗り越えて、最終的に一緒にいたいって思うようになったんじゃないかな。

私にはまだ分からない気持ちだとしても、今の時点で言えることもある。



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