ここは君が夢みた、ふたりだけの世界。
義姉には逆らえない…と。
そんな叔父さんは常に「俺は結婚には向かない」と言っている、42歳にして独身の男だ。
「可愛いじゃないですか。ほらほら、動かなーい」
「うっ、わっ、思ったより強い…っ!」
叔父と歳の変わらなそうな看護師さんは、穏やかに微笑みながらもかなりの力で私の動きを封じ込めてくる。
きっとこういう役目には慣れたものなのだろう。
「宮村(みやむら)さん、見せないように芽衣の目を隠してやって。昔っから好奇心のまま見ては余計に泣いてたんだ」
「あるあるですね」と言って、宮村と呼ばれた看護師さんは私の視界をそっと見えなくさせた。
「私は李衣だよ叔父さんっ!!それお姉ちゃんの名前っ!」
「あ、そうだった。悪いな」
「あと見なければ怖くないとかじゃないから…!そんなの関係ないからっ!!これ痛みの問題だから…!!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、ほらいくぞ」
真面目なんだか適当なんだか分からないのが彼の特徴。
こんなんじゃ結婚なんかぜったい無理だ。
「青石先生、そろそろ交代で大丈夫ですよ。休憩とってください」