僕は君に毎日恋をする
「………」
「………」

しばらく、抱き締め合っていた二人。

「西蓮寺さ……」
「ん?」

「あの…腕、緩めてくれませんか?
苦しくて……」
「うん…」

「あの、お願…苦し……」

「ご、ごめんね!!
はぁ…可愛い、可愛いなぁ…羽衣」
腕を緩めて、今度は頬を包み込んだ乃蒼。
うっとりとして言った。

「え?あ、あの…名前/////」

「うん。ダメ?」
「あ、いえ////」

「羽衣も“乃蒼”って呼んで?」
「の、乃蒼…/////」

「羽衣!」
「乃蒼…」
「羽衣!」
「乃蒼」

「フフ…幸せ!
……………あ!あと!敬語もなしね!羽衣」
「うん」


それから、手を繋ぎゆっくり街を歩く。
「ねぇ、羽衣」
「ん?」

「まだ、離れたくない。
どっか、寄ろう?」
「うん、いいよ」

ふと、ショーウインドーに目が行った羽衣。
(わぁー、綺麗なネックレス…)

「欲しいの?」
「え?あ、う、ううん!」

「………」
「乃蒼、コーヒー飲まない?」
「うん」
羽衣は、少し引っ張るようにして足を進めた。


「━━━━━あのさ。聞いてもいいかな?」
「ん?」

「今日、なんで高敏とランチに行ったの?」
「え?あ、あれは……
◯◯の商品のロゴの件で、来週ミーティングがあるでしょ?
でも里島さん。
関係者の方の宿泊先のホテル、タブルブッキングしてたの。
たまたま私の知り合いが、相手方の社員さんだったから、一緒に行ったら話も進みやすいんじゃないかと思って。
それで、ついていったの。
結果的に上手く調整がついたから、お礼にって里島さんがランチ奢ってくれて……時間的にも、ランチの時間だったし」

「そう……どんな話をしたの?」

「え?最近どう?とか、好きな人いないの?とか、休みの日は何してるの?とかそんな話」

「そっか。好きな人は、僕だって言ってくれた?」

「好きな人がいるって話はしたけど、乃蒼だとは言ってないよ。
恥ずかしくて…/////」
「そっか。そうだよね……」

「乃蒼?」
「ん?」
「どうしたの?」
急に落ち込んだように、暗くなった乃蒼。
顔を覗き込む羽衣。


「人を好きになると、こんなに苦しいんだね……」
切なく微笑み言った、乃蒼。
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