僕は君に毎日恋をする
後日、会社のみんなで飲み会が開かれた。

「羽衣、こっち!」
「うん」
羽衣を端に座らせ、横をがっちり守るように座った乃蒼。

すると、羽衣の向かいの席に高敏が座った。
乃蒼の雰囲気が、一気に黒く落ちた。

「の、乃蒼?」
「ん?」
羽衣は怖くなって、顔を覗き込むと微笑んだ乃蒼。
でも、明らかに乃蒼を包んでいる雰囲気は固く重かった。


「━━━━━━まずは、飲み物から~
端から順番に言って!
小宮山さんから!」

「あ、はい!
えーと……」
「羽衣。いつものカシスオレンジだよね?」
「あ、うん。じゃあ━━━━━」
「羽衣ちゃん、たまには違う飲んでみたら?」
「え?」

「は?なんで、高敏がそんなこと言うの?」
「別にいいじゃん!
冒険も大事だし!」

「僕の羽衣に気安く話しかけないでよ」

「は?
“僕の~”なんて、言ったことなかったじゃん!」

「それは、今までの彼女のことでしょ?
羽衣とは違う!
…………てか!羽衣に別の女の話なんか聞かせないでよ!
羽衣が傷つくでしょ!!」

「ちょっ…二人とも……」
乃蒼と高敏が言い合いを始めてしまい、羽衣が間に入る。

「やめろよ!西蓮寺も里島も!」
「落ち着け!」
他の社員達も、止めに入る。

そこでやっと、落ち着く。
「あ、あの!カシスオレンジにします!」
「り、了解。
じゃあ、西蓮寺は?」
「僕も同じの」
「ん。
じゃあ次━━━━━」

「乃蒼…」
羽衣は、隣に座っている乃蒼に耳打ちした。
「ん?」
乃蒼も耳を寄せる。

「お願い。
飲み会の間は、堪えて?
みんないるんだし…」
「ん…わかった。ごめんね」
乃蒼も小声で言って、微笑んだ。

それからは、和やかに時間が過ぎていく。


「乃蒼、お手洗い行ってくるね」
羽衣は、席を外した。

トイレを出ると、乃蒼が待っていた。
「一人になっちゃダメだよ!」
「乃蒼」
「フフ…羽衣、顔が赤い。酔っちゃった?
ほんと、可愛いなぁ/////
……………行こ?」
「うん」
乃蒼の差し出してきた手を握る。

すると、向かいから高敏が来た。

「「あ…」」
睨み合う、乃蒼と高敏。

「あ…乃蒼、ダメだよ…行こ?」
羽衣が引っ張る。

そして高敏とすれ違った。
< 17 / 26 >

この作品をシェア

pagetop