僕は君に毎日恋をする
「━━━━俺、あの日、ほんとは告ろうとしたんだ」

高敏がすれ違い様に言った。

「は?」
「え……?」
乃蒼と羽衣が振り返った。

「ランチをした日。
羽衣ちゃんに聞いたよな?
“好きな人いるの?”って」

「え?あ、はい」

「まさか……“いる”って言うと思わなかった。
誰かは教えてくれなかったけど、乃蒼のことだってなんとなくわかった。
……………悔しかった。
だから、羽衣ちゃんのことを“乃蒼より先に”名前呼びしたんだ」

「里島さん…」

「でも“あの”乃蒼が、こんな惚れるなんてな(笑)
羽衣ちゃん、乃蒼のことよろしくな!」

「あ、は、はい!」
そう言って、後ろ手に手を振る高敏。
羽衣は、ペコッと頭を下げた。

「━━━━僕も!高敏に嫉妬した」
その高敏の背中にぶつけるように言った、乃蒼。

高敏がゆっくり振り返った。

「初めてだよ。
“嫉妬”なんてしたの。
だから、高敏の顔見たくなくて…ごめん」

「フフ…別に~」

「正直、消えてくんないかな?って……」

「それはひでぇだろ(笑)」

「うん。そうだね。
言葉のあやだよ」

「どんなあやだよ(笑)」

「でも、ホントに消えてもらっても困るよ。
僕の親友だし」

「消えねぇし(笑)」

「うん」

「つか!俺、便所行きたいんだけど(笑)」

「だったら早く行きなよ」

「うるせぇ(笑)」
そう言って、男性トイレに入っていった。



「━━━━良かったね!乃蒼。
里島さんと仲直りできて」
「うん。
まぁ、どうでもいいけどね」

「フフ…」
「ん?」

「強がってる(笑)
本当は、寂しかったんでしょ?」
クスクス笑う羽衣。

「………」
「フフ…」

「……ほんとは、寂しかった」
「でしょ?」

「でもね」
「うん」

「“ある意味”だけど……羽衣がいてくれたら、それでも構わないよ!
羽衣だけは、失いたくない!
それくらい大好き!」
「うん…/////
ありがとう/////」


それから解散になり、それぞれ別れた。

乃蒼と羽衣は、ゆっくり歩いて帰路につく。
すると、途中雨が降り出した。

「羽衣、走るよ!」
「うん」
結構降りだし、バシャバシャと雨を弾きながら走った。
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