僕は君に毎日恋をする
なんとか羽衣のコーポまで、たどり着いた。

「びしょびしょだね…」
「乃蒼。
家で身体拭いて帰って!
傘も貸すし」

羽衣は、乃蒼を引っ張った。

「え……でも…
羽衣。すぐだし、大丈夫だよ!」
「ダメだよ!びしょびしょでしょ?」

「だから!」
グッと羽衣を引き寄せた。

「……っつ…乃蒼!?」
「部屋に上がったら、理性が保てないんだ……!
ずっと我慢してるから、爆発する。
羽衣のこと、大切だから!
傷つけるようなことしたくない!」

そうなのだ。
羽衣と交際して、約一ヶ月。

その間乃蒼は、自分のマンションに羽衣を入れることや羽衣の部屋に入ることを避けていた。

毎日の羽衣を送りの時、羽衣に“お茶でも飲んでいかない?”と何度も誘われたが頑なに断っていた。
(乃蒼が、毎回“離れたくない”と駄々をこねるから)

それは二人っきりになってしまうと、確実に襲ってしまうからだ。
乃蒼は、早々から羽衣と身体を重ねたいと思っていた。
欲はどんどん膨らみ、羽衣の全てを独占したいと思っていたから。


「…………いいよ」
ポツリと羽衣が、呟くように言った。
「え……羽…衣」

「爆発、してもいいよ」

羽衣が、乃蒼を見上げていった。



初めて入る、羽衣の部屋。
さっぱりした、シンプルな部屋だ。

乃蒼は、緊張していた。

自分が愛してやまない羽衣の住んでいる部屋。
部屋いっぱいに羽衣の匂いがして、興奮する。

「乃蒼」
「え!?」

「そんなとこいないで、ソファに座って!
今、タオルと温かいお茶いれるから」

一人用のソファに腰かけた。

羽衣は、バタバタと動き回りタオルやお茶を準備している。
部屋を見渡す乃蒼。

「あんま、見ないで!恥ずかしいよ/////」
テーブルにカップを置きながら、羽衣が言った。
そしてカーペットの上に座った。

「なんか、羽衣みたいに小さな部屋だね」
「え?
フフ…狭いでしょ?(笑)
乃蒼のマンションは広そうだよね!」

「そうだね。
でも、羽衣の部屋なんか温かい!
羽衣がいるからかな?」
「……/////」
(こうゆうこと、サラッと言うんだもんなぁー)

「僕、ここに引っ越して来たいな。
ここだったら、ずっと羽衣とくっついていられる!」

「フフ…さすがにここに二人は狭いよ?(笑)
引っ越すなら、私が乃蒼のマンションに行くのがいいよ、きっと!」

「え………
それって、一緒に暮らしたいってこと?」
乃蒼が、目を見開いて見ていた。
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