甘くてこまる
「棋譜」
「へえ……。そういえば、紘くんは、高校でも囲碁部に入るの?」
「そのつもり。せいらは? また手芸部?」
「うーん、まだ……。明日の部活紹介を見てから考えようと思ってて」
紘くんは囲碁が強くて、中学のときも大会で入賞したりするほどだったけれど、わたしにはこれっていうものがないから。
いろんな部活を覗いてみたい気もするし、うみちゃんと一緒に体験入部を回ってみるのもいいかも……なんて考えているうちに、見慣れた住宅街にたどり着いた。
わたしの家。
紘くんの家は、その向かい。
よおし、やっとお昼ごはんだ……!
「じゃあね、紘くん、またあし────」
ひらひらと手を振って告げようとした「また明日」は、ぷっつり途中で途切れた。
「せーら」