甘くてこまる
「秘密」
♡
𓐍
𓏸
一夜明けて、翌朝。
「せーら、おはよ」
「ひぎゃっ!?」
「あは、なにその声。かわいい」
「なっ、なんで、郁がいるの……っ?」
耳もとで囁かれて、飛び起きた。
寝ぼけまなこを擦るまでもなく、一気に覚醒。
朝いちばんにはふさわしくない大ボリュームで悲鳴を上げて、唇をわなわな震わせる。
「どこから入ってきたのっ?」
「うん? ふつーに、窓から。ていうか、せーら、ちょっと無防備すぎない? 鍵かかってなくて焦ったんだけど」
「たまたまかけ忘れただけだもん、それを言うなら郁のほうがひどいよ」
いつもはちゃんと戸締まりして寝てるんだよ。
昨日はあれだ、きっとぼーっとしていて、うっかり鍵を確認せずにベッドに入っちゃっただけ。
毎晩、鍵開けっぱなしの郁に言われたって、まるで説得力がない。