甘くてこまる

「ほぇ？ うん、もちろんだよ」




なにを今さら、わかりきったことを。




「そうは言っても、せいらは女の子だし、紘くんは男の子でしょ？

昔から仲が良いのは知っているけれど、いつまでもそういうわけにはいかないかもねって、紘くんママと話してたのよ。

ほら、思春期になると男の子と女の子の関係って複雑になったりするじゃない」




ママはわたしをじっと見つめて、いたずらっぽく首を傾げた。




「そこのところ、どうなの？」

「へっ？　どうなの、って」


「せいらは紘くんのこと好きになったりしないのかなーって」

「好きだよ、あたりまえだよ」




そうじゃなかったら、一緒にいないもん。


きっぱり断言したわたしに、ママは「わかってないなあ」って顔をした。




「せいらの『好き』は仲良しの幼なじみとしてでしょ？ そうじゃなくて、恋しちゃったりとかしないの？ってことよ。キュンとしたりしないの？」


「ええっ」




か、考えたことなかった……。

恋っ？　紘くんにっ？






まったく想像できないよ。