甘くてこまる


𓐍
𓏸



「ただいまぁ」

「ありがとー。いっくん元気だった?」

「ううん、会ってないよ。夜までお仕事だって」

「あらまあ、忙しいのね」


「コロッケは郁のママに渡したよ。明日、マドレーヌとクッキーを持ってきてくれるって言ってたよ」




3秒で、またうちに帰ってきて。

脱いだローファーを揃えていると。





「そうだ、せいら。時間があるなら部屋の掃除しておきなねー。

新しい教科書もあんな風に山積みにしてちゃ、そのうち雪崩(なだ)れちゃうわよー」




「もー、ママ、またわたしの部屋、勝手に入ったのっ?」


「やあね、ゴミ出すついでに確認しただけじゃない。とにかく、部屋はきれいに保っておくこと!」




めっ、と眉をつり上げたママに「はぁい」と返事して、階段をぱたぱた駆け上がった。





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