甘くてこまる
部屋の扉をガチャリと開けて。
「たしかに、これはダメかも」
と反省する。
もともと物が多いわたしの部屋は、お世辞にもきれいに片付いているとは言いがたい。
ベッドや床はぎりぎり及第点だけれど、ママの言うとおり勉強机の上がひどい。
中学生の頃の教科書に、卒業アルバム、最近届いたばかりの高校の教科書……と混沌としていて。
これは、さすがに整頓しなきゃ。
もう、わたしも立派な高校生なんだし。
机も高校生仕様に、ちゃんとしないとねっ。
「よーしっ」
シャツの袖をまくって、気合いを入れる。
持ち物は最低限でいつも身の回りがすっきり片付いている紘くんと比べたらまだまだだけど、わたしも片付け自体はきらいじゃない。
きっちりと物を並べていくうちに、楽しくなってきちゃうんだ。
ふふふーん、と鼻歌をうたいながら、教科書を本棚におさめていると、ふとした拍子に肘がなにかに当たってしまう。