甘くてこまる
「せいらが爆モテするせいで、私、大変だったんだからね。
笹本さんも一緒にマネージャーやらないのかって、どいつもこいつもしつこいんだから。
どうにかしてお近づきになりたいって、下心が見え見えなのよ」
げんなり、といった様子のうみちゃん。
うみちゃんはいくつか運動部を回ったのち、水泳部のマネージャーをすることにしたらしい。
うみちゃんによると「男は顔の強さより、筋肉の強さ」なんだそう。
上裸が見放題のサブスクだ!って言ってた。
そしてわたしは、迷いに迷った末に写真部に入ることに決めたの。
先輩たちが首から下げていた一眼レフが格好よかったから、なんて決め手は弱いけれど。
写真を撮ることにもともと興味もあったし、頑張ってみたいなって思って。
「笹本さん」
「っ、はいっ」
名前を呼ばれて、反射的に立ち上がる。
声がした方を振り返る。
教室の扉のそば、知らない男の子が立っていた。
「今、時間いい?」
「え……と」
妙に熱っぽい視線を受けながら、誰だろう、と考える。