甘くてこまる
「せーらは、今日、どういう予定?」
わたしがひそかに抱えている罪悪感なんて知る由もない郁は、わたしのほっぺをふにふにしながら、首を傾げた。
「うーん、特に決めてないけれど……。カメラの練習しようかなぁ。先輩から、お下がりのカメラをもらったから」
今日は、土曜日。
せっかくの休日だ。
「先輩からいろいろ教えてもらったんだけど、いまいちよくわからなくって」
カメラって、ポチッとボタンを押してシャッターを切るだけだと思っていたけれど、じつは、違ったみたい。
写真部の先輩が、昔使っていたミラーレス一眼をお下がりでゆずってくれて、レンズの選び方とか絞りのこととか、たくさん教えてくれて。
頭はパンクしそうだったけれど、奥深いんだなぁって、感動したの。
入部したからには、はやく先輩たちに追いつけるように頑張りたい。
「ふーん。部活、楽しい?」