甘くてこまる
「うんっ。雰囲気もいいの、みんな優しくて」
「へー」
生返事した郁は、少し目を細めて。
「男もいんの? そん中に」
「もちろん、いるよ。共学だもん」
「比率は?」
「ええ? だいたい、6対4かなあ。6が女の子で4が男の子」
「そのカメラ、くれたってのは……、……男の先輩だったりする?」
「ううん、これは沙世せんぱ────女の先輩がくれたの。優しいんだよ。それに、かわいくて!」
聞かれたことに、素直に答えたけれど。
こんなこと聞いて、郁はどうするんだろう。
同じ高校に通っているならまだしも、郁にはどれもきっと、ぴんとこない話だよね。
そう思うと、わたしばっかり話していてもつまらない気がしてきて、話題を変える。
「郁はっ? 郁は、今日は……」